】富木島の家

はじめにK様よりお話を頂いたときはリノベーションをご希望でしたので、
耐震診断とリノベーションのための現地調査を行いました。

その結果、
建物の劣化が多くあり、
柱や梁の状態も、室内から目視していたよりも状態がよくないことが判明しました。

 

リノベーションを行う場合、
新築同等かそれ以上にコストがかかる可能性があること。
また、そこまでお金をかけても、
新築と同じ性能を確保することが難しそうな現状をお伝えしました。

昔ながらの伝統構法の造りが残る住宅で、
出来れば、B様の希望に叶うようなおしていけたらと検討しましたが、
今回は、リノベーションは無理があると判断せざるをえませんでした。

B様も、非常に悩まれたことと思いますが、
建て替えて、新築するという結論を出されました。

 

建て替えの場合、よく問題になるのが、「物の多さ」です。

既存の住まいは、200㎡超え。
新築となると、そこまで大きな家は難しい。

設計者としては、
耐震・断熱といった性能の確保や心地よさにも配慮したいので、
無駄に大きな家は避けたいところ。
収納量は、打ち合わせをしてプランニングの段階で確保していくのですが、
結局は、
「今あるものを、どこまで処分出来るか」にかかっています。

坪単価 何十万という費用をかけてでも保管しておきたい!という考え方で、
本当に要るものかどうか判断してみるのも、ありかもしれません。

既存の建物にあったものを多く処分され、
必要なものだけをおさめる平屋の住まいが完成しました。

 

【リビング・ダイニング・キッチン】

2~3人で、普段の食事が出来ること、
生活時間帯が別々なこと、
客間としての空間が欲しいことなどから、
LDKは、襖で仕切られるようにしました。

客間とはいっても、人が集まる機会は少なくなっているとのことでしたので、
リビング兼用の客間です。

普段は、襖を開け放して使う形になるかな~と思いつつ、
設計しました。

家族の生活時間帯が異なるとのことで
個室は、ゆったりと、
8畳+収納というスペースです。

それでも、既存の個室より、小さいのです、、、
昔の家は、大きいーーー

必要なところには、あらかじめ手すりを設置。

 

玄関

足元がおぼつかなくなりつつあるお母さまのために、
玄関には、縦のバーと手すりを設置しました。

 

納戸

押入と季節のものをしまう納戸。
壁面全面に、可動棚を設置。

手前に見えるのは、床下点検口です。
水漏れなどの場合には、ここから潜って床下の点検を行います。
この点検口から、家中のどこへでも行けるように設計しています。

 

廊下

面積の有効利用の観点から
普段は廊下が少ないプランが多いのですが、
今回は、K様のプランニング上の希望から、廊下をつくりました。

この廊下、
玄関・LDK ー 個室・トイレなどの水周りを結んでいるので、
利用頻度が高いです。
そこで、
暗い雰囲気にならないよう、天窓を設けました。

明るさの確保もですが、
見上げると空が見えるのが、嬉しいです。
北側の天窓は、穏やかな光が届くので、
廊下がフワッとした明るさになりました。
廊下の長さが6間半ほどあり、単調な空間になるのも防いでいます~

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地盤調査
基礎~構造検査

実は、今回のプランは、
個室が広めになっています。
(その分、リビングダイニングが小さめ)
これは、暮らし方をお伺いし、
ご相談をして決めたのですが、
新居に引っ越し、新たな暮らしを始められるまで、
設計者として、大丈夫だろうか?と不安でした。

お引渡し後、お伺いしたところ
個室にいる時間の方が長いとのことでしたので、
とりあえず、ホッとしました。

 

新しい暮らしをイメージすることは、なかなか難しいと思いますが
自分たちの暮らしや大切にしたいことを
家づくりの機会に振り返ってみて、
優先順位をつけてみることが、
限られた予算を有効に使うには、
意外と大切だったりします。

 

家づくりは、十人十色。
この機会に、自分たち家族の大事にしていることを
じっくり見直してみる・話し合ってみる
家をつくるときに、ぜひ考えて頂きたい!と思います。

  • 所在地
  • 東海市
  • 構 造
  • 木造平屋建て
  • 延床面積
  • 約 100㎡
  • 竣 工
  • 2020年
  • 施 工
  • 株式会社 小島工務店
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